プロの実戦から学ぶ石の方向
こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、小林覚【著】
「石の方向感覚」です。
囲碁は「最終的に相手より地を多く獲得する」事を目的としたゲームです。
とはいえ序盤から目先の実利だけを追いかけて勝てるほど囲碁は甘くありません。
では序盤で何を指針とするかというと、石の方向感覚です。
正しい方向に向かっていれば、次の一手もおのずと見えてくるでしょう。
逆に方向が間違っていれば、打れば打つほど碁が苦しくなります。
正しい方向感覚を身につける有力な方法としては、序盤の問題集を解くというのがあります。
本書は、小林覚プロの実戦を題材として、序盤の石の方向感覚を学べます。
目次
- 第1章:石の方向を考える
- 第2章:定石の方向
- 第3章:布石の方向
- 第4章:戦いの方向
内容紹介
↑黒△と下辺を囲ったところ。
白は実利を稼ぎ、黒は模様を築いています。
白としては模様を細分化すれば細かい勝負に持ち込めそうです。
白の次の一手はどこが有力でしょうか?
↑白1とすぐに模様を消しに行くのは失敗で黒2からじわじわ攻められ、黒に主導権を握られます。
この白石が弱い間はなかなか他の大場に先行するチャンスがなく、黒に残りの好点を占められそうですね。
ちなみに私はこの白1と選んでしまいました(笑)
そりゃ頻繁に序盤で苦しくなるわけですね・・・。
↑白1は大場ですが、黒2で上下の黒模様が繋がり谷が深くなってしまいます。
白3と受ければ黒4が模様の接点。
このように二つの模様を繋がられると、非常に苦しい展開になります。
↑正解は白1のオシでした。
黒6まで交換すれば次に白aという好点がありますし、
b付近も黒は薄くなっていますね。
前図のように上下の黒模様が繋がって深くなることを阻止している点にも注目です。
↑続いて白1と大場に先行し、黒2に白5と次にaのカタツキを見ながら消しに行きました。
比較的穏やかな進行で、これは白が不満なさそうですね。
白はコミを意識した打ち方で、ヨセ勝負になりそうな気配です。
やや難易度が高い
本書のイメージとしては「序盤だけ解説している打碁集」でしょうか。
小林覚プロの実戦譜を題材としていますので、序盤感覚の本としては比較的難易度が高めかもしれません。
そのためある程度序盤の基礎ができている人にオススメです。
ちなみに小林覚プロは非常にバランス感覚に優れた碁で、アマが並べる棋譜としても有力な棋士の一人となります。
まとめ
対象棋力:3段以上
評価:B