前田詰碁を堪能できる一冊
こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、前田陳爾【著】
「痛快 前田の詰碁」です。
形はシンプルだけど、一筋縄でいかないという魅力あふれる詰碁ばかりの一冊です。
本書の前田語録に筆者の「優秀な創作詰碁に対する条件」が書かれており、非常に興味深かったので紹介します。
- 第一条件は古作の模倣・焼直しであってはならぬことです。
- 第二条件は筋が目新しく且つ優秀であること。図体ばかり大きくて、大量の読みが必要な詰碁は優秀とは言い難いとしています。
- 第三条件はスタイルの問題で無駄に石がズラズラ並んだり、必要ないところにダメが空いたりするのは見た目が不快になるとのこと。
当然ながら筆者の詰碁はこれらの条件をクリアすることを意識されて作られているので、前田詰碁の評判が高くなるのは必然的ですね。
目次
- 第1章:痛快小品集
- 第2章:手筋一閃の巻
- 第3章:秘手と盲点の巻
- 第4章:華麗なる攻防の巻
全部で160題収録されています。
また前田語録が4ページ分あり、私はこの手のコラムが大好きです(笑)
本の内容
↑白先白生きで、黒△をどうするかがカギとなります。
一見簡単に見えますが罠があります。
詰碁としてはよくある筋ではあります。
↑白1とキリを一本打つのはすぐに閃くかもしれません。
白3と打ち、黒aには白bが読み筋です。ところが・・・、
↑黒1から裏切られ残念ながら白は二眼作ることはできません。
しかしこの図が正解へ大きく前進するヒントになります。
↑白3と打つ妙手がありました!
まさに手筋ですね。
↑手を抜くとウッテガエシがあるので、黒1と取るくらいですが、そこで白2を打ちます。
それでも黒3と来たらどうなるでしょうか?」
↑白1で、aとbが見合いで白は生きることができました!
失敗図との差を確認してみてください。
高段を目標にする人にいい詰碁
長手数の読みを要求するものは少なく形や筋もシンプルな本書は、高段を目指す有段者くらいの人にピッタリだと思います。
綺麗な筋ばかりですので何度も繰り返し解きたいですね。
余談ですが、私が本書と出会ったのは行きつけの碁会所で見つけ、数百円程度で売ってくれたので入手できました。
それまでこの詰碁の存在を知らなく、ページをぱらぱらめくった瞬間に「これは良い詰碁集だ」と確信したのです。
絶版モノなので、入手するには古本屋かネットで見つけるしかないのが難点です。
まとめ
対象棋力:3段以上
評価:S