古典詰碁に引けを取らない完成度と有名さ
こんにちは!!
今回紹介するのは、平凡社【出版】、前田陳爾【著】
「詰碁の神様 前田陳爾 傑作集2」です。
・「詰碁の神様 前田陳爾 傑作集1」
↑の続編です。
名著ばかりである前田陳爾先生の詰碁集の一つになります。
本書の編集者の一文より引用。
前田詰碁の材料を整えるにあたって、改めて驚いたことがあった。
というのは、時折、これは昔から有名な詰碁のはずだが、と思わされる作品にぶつかったことである。
玄玄碁経などの古典だと思っていたいくつかの詰碁が、実は前田九段の作品だったのだ。
編者の勉強不足をさらすようなものだが、それだけ前田九段の詰碁が有名になっているということでもある。
これは自分も同じ感想を持ったことが多々ありました。
現在出版されている基本詰碁などを扱った棋書の中には、かなりの確率で前田詰碁の作品が模倣されているのを見かけます。
目次
- 第1章:力をつける詰碁
- 第2章:会心の打碁
- 第3章:随筆選
メインである第1章の詰碁では、全110題で難易度順に「1冴えた詰碁」、「2盲点の詰碁」、「3鑑賞の詰碁」と分けられています。
特に「3鑑賞の詰碁」は並のアマチュアではやや難しいレベルなので、鑑賞目的となっています。
内容紹介
↑黒先生きの問題です。
結構有名な形ですが、前田先生の作品らしいです。
↑黒1と素直(?)に一眼を作ろうとすると、白2・4と粘られコウに持ち込まれます。
↑他に直接一眼を作ろうとする手は黒1のコスミくらいですが、白2で無条件で死んでしまいます。
このような詰碁では、ちょっとした手筋を使うのです。
↑ということで黒1の出が正解です!!
白の応手によってその後の打ち方を決めるという手筋になります。
↑白1と打てば、ここで黒2のコスミが決め手になります。
白3には黒4でオイオイオトシ。
ちなみに黒2で3に打つと、白に2に打たれ失敗図と同じコウにされます。
↑白1とこちらに打てば、黒2で次に白a,黒bの生きです。
自分から取られに行く手は詰碁では王道で、捨て石様様ですね。
詰碁力のつく問題だらけ
前田詰碁全般に言えることですが、形がシンプルで筋が綺麗な問題だらけなので、詰碁力をつけるのに最適といえます。
有段の棋力があれば本書に余裕をもって取り組めるかと思います。
また詰碁以外にも、前田先生の会心の棋譜解説や前田先生が選出する「詰碁名作ベストテン」などが掲載されており、それだけでも見る価値が十分あるでしょう。
まとめ
対象棋力:3段以上
評価:S