七段合格の布石感覚は隠れ名著
こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、高木祥一【著】
「七段合格の布石感覚」です。
△段合格シリーズのなかでは唯一の布石本になります。
しかし七段合格とはずいぶん大層な題名ですね(笑)
この題名のせいで購入するのを躊躇ってしまった方も多いのではないでしょうか?
実は本書を読むのに、7段に近い棋力は必要ありません。
この本との出会い
私がこの本と出合ったのは、1・2級くらいになった中学三年の夏前だったでしょうか。
・「布石のベスポジ」
上記の棋書と同時に購入して、まだ布石というものをロクに知らなかった自分は相当な衝撃を受けました。
まだ始まって十数手しか盤上に石はないのに、ここまで奥が深いのかと。
これら二冊は自分にとってはまさに「布石の先生」と呼ぶべき存在です。
何度も繰り返し読んだおかげで、碁会所で5・6段ぐらいになった時でも、対戦相手に布石で競り負けることはほぼありませんでした。
目次
- 第1章:大場と急場
- 第2章:布石の構想力
- 第3章:七段合格の布石
問題図
↑第1章の問題です。白番でA~Dのどこに打ちますか?
↑正解は白1!
一見狭い所で意外に思う人もいるかもしれません。
ここを先手で打ち、aなどの大場に向かう打ち方ができればまさに七段の布石感覚!!
↑a~cの他の大場に打った途端に黒1の急所のコスミがきます。
この一手によって上辺黒地が完成し、右上白が弱体化して手を抜けない形になりました。
こういう手を先手で打たれては、他の大場に先行した利益くらいはあっとう言う間に吹き飛びます。
↑第3章から選択肢がなくなります。白番でどこに打つのがいいでしょう?
↑正解は黒の厚みをぼやかす白1のオオゲイマ。
この様に相手の厚みを消す時はオオゲイマが適切な場合が多く、
布石問題集には必ず数問入っているほどです。
この後黒aなら白bくらいで左辺の黒の幅は厚い割には狭いです。
ちなみに白1を一路下のコゲイマに打つと、黒がaの一路下に詰めてきて、今度は黒模様の幅が一路広くなるので減点です。
↑だったらもっと黒模様を狭くしてやるぜ!・・・という白1は黒2に打ちこまれて損です。
黒10まで左上の黒の厚みが左下の黒地に変換した形になった上に、白はまだ全体が攻められそう。
「厚みに近寄るな」ですね。
↑白1はもう正気の沙汰ではありません(笑)
黒2から4とこのラインを割られては、白は弱い石だらけで劣勢になります。
初段前後の人でも理解できる内容
この本のはしがきに「本書は七段というハイレベルの方を対象にしています」と書いていますが、中身のレベルは他の序盤感覚の本と変わらないので気にしなくていいと思います。
また「本書を理解すれば布石は七段レベルと言ってもいいでしょう。」と書いていますがこれは本当です。
要は布石という分野は、詰碁や手筋みたいに、明確に段位でレベルを分けれるものではないのです。
「この布石感覚で初段」「こういう布石を打てれば3段はあるだろう」とかほとんど表現しませんしね。
布石の分野は上達しやすい
見方を変えれば、布石だけなら今初段ぐらいの人でもすぐに高段者レベルになれるということです。
これは頑張りがいがありますね。
布石の勉強はコスパの高い分野と私は思っています。
まとめ
対象棋力:3級以上
評価:S