正しい序盤感覚が身につく
こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、桑本晋平【著】
「序盤の感覚力」です。
囲碁において序盤戦は、どう打っても一局といえる場面だらけです。
一番自由度が高いということですね。
それだけにどう打っていいかわからず、悩んだり迷ったりする人も多いと思います。
ある程度序盤を上手く打つためには、「羅針盤」となる正しい序盤感覚を身につける必要があります。
その為の一番の王道はプロの棋譜を並べることなのですが、級位者や低段者の人にはキツイかもしれません。
そこで本書のような「布石の次の一手問題集」タイプの棋書による勉強が有力になってきます。
目次
- 第1章:序盤の七か条
- 第2章:全局問題編
内容紹介
本書では序盤の七か条として下記の7項目を挙げています。
- 一にあき隅、二にシマリ
- 広い所から打つ
- 弱い石から動く
- 厚みに近寄るな
- 大場より急場
- 天王山を逃すな
- 封鎖は避けよ
これら囲碁の格言であり、しっかり身につけておかないといけない基本です。
もちろん絶対のルールというわけではないのですが、概ね正しい場合が多いです。
↑白番の問題になります。
打ちたいところがたくさんありますね。
ヒントは「大場より急場」
↑正解は白1の二間ビラキです。こ
れで右辺白石は安定し、次に黒2くらいですがゆっくりとした局面になりました。
↑白1は特大級の大場ですが、黒2に詰められると白は防戦一方になり、黒は攻めながら得をすることができます。
これでは白1に先行した分の利益はすぐに吹っ飛びますね。
急場を逃すと序盤といえど一気に苦しくなります。
↑もう一問。白の手番です。
この問題は正解は一つではないのですが、あなたはどこに打ちますか?
↑本書では白1のワリウチが正解になっています。
次にbと、aやcのヒラキやカカリを見合いにしています。
たしかに間違いのない手だと思います。
↑一昔前(本書も一昔前の棋書)は前図のワリウチがほぼ絶対の手とされていましたが、現在では考え方が変わりそれ以外の手もよく打たれます。
この局面ですと少なくともa~dなどは正解としてもいいと思います。
マニアックな手ですとeの肩ツキなどもあります。
↑少し配石を変えましたが、一昔前まではやはり白1とワリウチするのが一番多く打たれていました。
ところが黒2のカカリを決めて、黒4から6・8と圧迫する手法が有力であることが発見され、以降ワリウチはあまり打たれなくなっています。
代わりに白5で二路下のシマリにツケる手法や、白1のワリウチで別のところに打つことが多くなりました。
これらはプロレベルの話で、本書では触れていません。
もちろん白1から5の、ワリウチからの二間ビラキはプロでも打っている手なので、普通のアマレベルでは気にしなくていいと思います。
正解手を盲信するのはおススメできない
この手の感覚の問題集は、何度も繰り返し解いて体で覚えていくものなのですが、盲信しすぎるのはあまりオススメできません。
布石問題集は、最初の問題図にように「盤上この一手!」といえる手が正解な問題もあれば、二番目の問題図のように他にも正解とされる手がある問題もあります。
当然正解の手はどれもアマが打てば文句のない好手ばかりなので、しっかり身につけていきたいですね。
「他にも可能性があるかもしれない」という事を心の片隅にとめておく程度でいいでしょう。
本書は初段を目指す級位者が対象かと思いますが、高段者が読んでも効果がある内容です。
まとめ
対象棋力:3級以上
評価:A