正しい序盤感覚を身につけられる
こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、川本 昇【著】
「有段者の序盤感覚100題」です。
囲碁というゲームは負けた時に、敗因がはっきり分かる時とそうでない時があります。
前者は勝負所での読み間違え・判断ミス・ヨセのミスや、極端に言えば見損じなどです。
この場合は反省もしやすく、本人も納得しやすいかもしれません。
しかし後者の場合、気が付いたら打ちにくい・形勢が悪い碁になってたというパターンは、局後もモヤモヤが解消されませんよね。
そういう時は大抵序盤で不利になっている事が多いと考えられます。
布石段階の序盤戦は「どこに打っても一局」という言葉があるように、自由度が高いです。
しかしそれでも棋理に適った手とそうでない手があります。
序盤の急所をしっかりと見極める力を付けることによって、よりレベルの高い碁を打つことができるようになるでしょう。
有段者ではなくプロ級?
序盤感覚の力をつける有力な方法の一つが、本書のような布石の問題集を繰り返し解くことです。
本書の題名に「有段者の」とついています。
「この本の問題を解けれるようになれば、自分も有段者の仲間入りだ!」と思う人もいるかもしれませんが、有段者どころかプロ級の感覚を手に入れたことになります。
当たり前といえばそうなのですが、正解とされている手はプロの目から見て合格点という手なので、もし本書の正解手レベルの着手を打てるようになれば序盤だけはプロ級と言っても過言ではないでしょう。
仮にプロ級は言いすぎでも、アマ高段者レベルは確実でしょうね。
この分野は勉強さえすれば、比較的労力をかけずにある程度上達することができます。
目次
- 序章:序盤戦の格言
- 第1章:足場固め
- 第2章:攻防の序曲
- 第3章:いざ開戦
内容紹介
また本所の特徴として、正解とされている手を「有力」、失敗とされている手を「疑問」と表現しています。
これは序盤には人それぞれの棋風があり、正解と断定するのは一方的に過ぎるかもしれないという判断からです。
本書で有力とされている手以外にも好手はたくさんあるでしょう。
数ある有力な手の中の一つであるということを意識して、あまり盲信的にならずに楽しむのが賢いかもしれません。
↑序章での問題図です。
この局面、白1と中央を消しながら右辺を強化するのが大事です。
次に白aが厳しいので黒2と守るくらいですが、それから白3・5と右上に先行してゆっくりした局面に持ち込めます。
↑すぐに右上に打つのは、黒4辺りが好点になります。
右辺白が弱体化し、下辺から中央にかけて黒模様が急に大きくなりました。
この後、黒からはaやbが好点になっていて、見た目以上の大きさです。白苦戦ですね。
正解図の白1のような手は、地の大きさでは測れない価値があります。
このような手を打てるようになると一気に棋力が伸びます。
第2章の問題図。白1は疑問でAくらいだったみたいです。
なんにせよここの白が強化されたら必然的に右辺の黒が弱体化し、守りの一手が必要になりますがどう打ちますか?
↑黒1と打つのが有力です。右上の白が強いので、黒△は場合によっては捨ててもいいという態度です。
(白も黒△をいますぐ無理に攻めにいってもいい事がなさそうなので、この判断なのでしょう。)
白2、黒3と大場を打ち合う展開です。
↑黒1のオオゲイマの方が、黒△とより連絡が確かです。
しかし白2とすぐに三々に入られても隅の甘さが露呈し、先手で白16に回られて細碁です。
黒1は結果的には疑問手となります。
右下の黒の厚みもあまり働くような碁でもなく、有力図のほうが勝るでしょう。
意外と骨のある問題もある
本書は意外と骨のある問題も多く、級位者では苦労するかもしれません。
初段以上の力は欲しいところだと思います。
正しい序盤感覚を手に入れれば、序盤戦が楽しくなります。
序盤が苦手な有・高段者の人は是非読んでみてください!
まとめ
対象棋力:初段以上
評価:A