詰碁の神様の名著
こんにちは!!
今回紹介するのは、東京創元社【出版】、前田 陳爾【著】
「前田初級詰碁」です。
囲碁のプロ棋士、前田 陳爾を知っている人はどれくらいいるでしょうか?
本因坊秀哉門下で、手がよく見え「攻めの前田」と言われてました。
詰碁作家としても有名で「詰碁の神様」と称され、関西の詰碁の大家の橋本宇太郎と並び「東の前田陳爾、西の橋本宇太郎」とも呼ばれていました。
この人の詰碁の特徴は、形がシンプルで実戦形であること、それでいて筋が新しく優秀なことが挙げられます。
一見簡単そうな問題なのに罠が二重にも三重にもあって、とても楽しめる詰碁が多いのです。
私は詰碁作家では前田先生が一番好きです。
そんな前田先生の作品の一つに、名著として名高い「前田詰碁集」(初級・中級・上級)全三巻があります。
この詰碁は絶版になった後プレミアがついて値段が高騰していたのですが、かなり人気で何と囲碁の本にしては珍しく復刻版が出ました。
まえがきに、「初級」は10級前後から4,5級で「中級」は5級から1級くらい、「上級」は1,2級から有段者向きと書いています。
しかし「初級」の本書でも並のアマ高段レベルでもうっかり間違えてしまう問題が少なくありません。
最初に出版されたのが昭和40年とのことですから、当時の基準は厳しいですね。
内容紹介
↑黒先生きです。
これは結構有名な形で、他の詰碁本にもよく載っていますね。
↑黒1・3とフトコロを広げるのは素直な手ですが、白4が急所でAのワタリとBのハネが見合いで死形です。
↑黒1とマガルのがなんとも味わい深い手で正解です。
白2と来ても今度は黒3で大丈夫。
白2で白3とハネれば、黒2でこれも生き。
ちなみに昔、この形がプロとの指導碁で出現し私は失敗図の進行になって頓死したことがあります(笑)
黒先です。
白△に切られたところですが。好手があってどの石も取られずに済みます。
↑黒1のコスミで辛うじて耐えています。
実戦では意外と見逃してしまう筋です。
何度も繰り返し解きたい
詰碁の基本手筋が詰まった名著ですので、何度も繰り返し解きたいですね。
前田先生の詰碁はアマでも取り掛かりやすいスッキリした問題が多いので、詰碁が苦手な人にもオススメできます。
長手数の読みが必要な問題はなく、5級ほどの棋力があれば十分楽しめると思います。
ちなみにあの趙治勲はこの前田詰碁集全三巻と↓の
・「基本死活事典上巻(趙治勲)」
を弟子に携帯させて何度も解かせたという噂を聞いたことがあります。
本書のような基本詰碁や上記の基本死活の習得は、囲碁が強くなるために必要な基礎力をつけるために必須です。
まとめ
対象棋力:5級以上
評価:S