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「怒涛の譜」~”殺し屋”加藤正夫の激選譜

投稿日:2018年10月19日 更新日:

大棋士加藤正夫の打碁集

こんにちは!!
今回紹介するのは、日本棋院【出版】、高木祥一【著】
「怒涛の譜」です。

かつて木谷門下の石田芳夫・武宮正樹とともに「木谷三羽烏」「黄金トリオ」と呼ばれ、囲碁界のトップに君臨していた加藤正夫九段。
通算獲得タイトル数47、名誉王座の称号に加えて、「1976~1990年まで14年間、7大タイトルのいずれかの座に着いていた」という大記録を持っていたそうです。
ただ、小林光一・趙治勲と二人も時代の覇者がいたため、棋聖のタイトルだけは取れず、大三冠、グランドスラムは達成できませんでした。
棋風は厚い碁を打ち、読み・力が強いのでよく相手の大石を撲殺することから「殺し屋」というニックネームがつけらていました。
更にヨセも上手く半目勝ちが多かった為、晩年には「ヨセの加藤」というニックネームもありました。
攻守ともに優れた棋士です。
性格は温和で多くの棋士や関係者から慕われていたと聞きます。
トップ棋士でありながら日本棋院理事に就任し、大改革を行ったのは棋院の赤字経営と若者の碁離れに危機感を持ったからという話も有名です。
57歳という若さで脳梗塞で亡くなったのも、理事としての多忙さと責務から来る心労ではないかと言われました。
本書は大棋士加藤正夫九段の打碁の中から200局を激選してまとめたものになります。

有名な一局

↑有名な一局をひとつご紹介します。
第二期棋聖戦の第七局で相手は藤沢秀行棋聖。
加藤黒番で199手目の黒1が敗着で2に打っていれば黒半目勝ち(棋聖獲得)でした。
加藤九段が生涯で最も後悔したと記載されています。
結局白が半目勝ち、藤沢秀行棋聖棋が防衛しました。
主催の読売新聞には「一億円の半目」という見出しが出て、現在でも語り継がれるほどになっています。
ちなみに棋聖の賞金額は現在4500万で棋戦最高額。
一億円というのはこの賞金だけでなく、来年の棋聖戦に繋がることや、他棋戦でのシード権や序列、後援会からの御祝儀なども含めてだと思います。

棋譜並べにオススメ

加藤九段の碁は奇をてらった手はほとんどなく、形が綺麗で手厚いです。
そのためアマの棋譜並べの教材としてもオススメできる内容です。
また棋譜が100手ごとに分割されており並べやすく、解説も丁寧なのも高評価ポイントとなります。
私自身もすべて並べましたが、非常に勉強になりました。

入手困難

本書は加藤九段が急逝した後に企画されてできた打碁集で、あまり数多く出回っていません。
現在では絶版になっており、定価が17143円(税別)なのに対して3万以上の値段がつけられています。
場合によってはネット上で在庫がない時もありました。
入手の難易度がやはりネックになるのは、豪華本打碁集の宿命なのでしょう。
本書を並べる機会がありましたら、是非楽しんでください!

まとめ

対象棋力:初段以上
評価:S

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