趙治勲の囲碁観を学べる
こんにちは!!
今回紹介するのは、河出書房新社【出版】、趙治勲【著】
「地と模様を超えるもの」です。
今や囲碁界のレジェンドである趙治勲25世本因坊ですが、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか?
囲碁に関していえば、非常に厳しい手を打つ、地にカライ、ギリギリのラインでのシノギが得意というのが主なイメージだと思います。
タイトル獲得数歴代一位をはじめとする輝かしい実績も特徴ですね。
余談ですが、「簡単な詰碁を繰り返し解く」という勉強法を推奨しているのもこの人です。
本書ではそんな趙治勲25世本因坊自身が自分の囲碁世界(囲碁観)について解説しています。
目次
- 少年時代に背負ったもの
- 地取りのすすめ
- 表裏一体のシノギ
- 必然のヨミ、偶然のヨミ
- 形勢判断、するべからず
- 国際化時代と持ち時間
- 昔より現在が強い
- 昭和、平成の大家たち
- 人生、救うものあり
内容紹介
本書は、「なぜ趙治勲は地を取る碁になったのか」「一人勝ちは遅れた世界である」「ライバルである小林光一、武宮正樹について」など非常に面白い内容です。
↑特に私が印象に残ったのはこの局面図に対しての考え方。
右辺から右下にかけて大きな黒地ができ、きわめて堅固であります。
ここで次の着手をどう決めるか。
A:右辺方面は一区切りついた。中央はなんとなく白模様。次が右上コウか上辺、左上の大場を考えよう」
B:「右下の黒地が非常に固い。この強さ、固さを生かせないだろうか。この近辺が非常に固い=なんでも思い切った手を打てるということ」
私はAの意見に賛成だったのですが、趙治勲25世本因坊はBでした。
↑実戦ですが、なんと黒1の急所からこの白模様を攻め(!)に向かっています。
「もし手こまねいて、中央に10目、15目の白地がこっぽりついたら碁は負け」
「最初の図で中の白模様が厚いと思ったら(認めてしまったら)それだけで碁に負けてしまう」
とのことで、非常に厳しい考えでした。
当時アマ高段くらいだった私は、「ここまでしないと碁に勝てないのか!」と非常に驚きました。
楽しく読める
趙治勲ファンならずとも楽しく読める内容です。
ちなみに本書では一人の人間がタイトルを総取りするのは他の人間が弱いからであり面白くないと書いていました。
その後井山裕太七冠が誕生したのですが、その辺の見解も聞いてみたいです(笑)
また面白いだけでなく、上達のヒントになるような情報も入っていますので、なかなかの良書だと思います。
まとめ
対象棋力:全棋力
評価:A